遺留分侵害額請求交渉事件

Yさんのもとに、他県の弁護士のGから手紙が来ました。それによると、母のＴさんが亡くなったこと、Ｔさんは生前、公正証書遺言書を作成していること、それには甥のＡさんに遺産を全部遺贈することが記載されていて、G弁護士は遺言執行者に指定されていて遺言の執行をするということでした。遺産は預金で合計４０００万円ほどありました。母Tさんが亡くなったあと、病気の療養をしていた姉（相続人）Wさんも亡くなりました。どう対応したらいいかという相談を受けました。Wさんの相続人はYさん１人でした。
　そこで、Yさんから依頼を受けて、Tさん宛にYさんとWさんの２人分の遺留分侵害額請求通知を内容証明郵便で出しました。
　Gさんの預金の取引明細書をとると、使途不明な出金が１０００万円以上ありました。

１　使途不明金については、Aさんに使途の説明を求める書面を出しました。
　　　これは、AさんがTさんの指示を受けて、他の口座に移しただけであるとい　　　うことでした。この点は調べるとそのとおりであることが確認できました。
２　遺留分について何度か交渉した結果、最終的にAさんは当方に１９００万円を支払うという回答をいただきましたので、その内容で合意書を締結しました。
３　受任時はTさんがなぜ、子供ではなく、Aさんに遺産を遺贈したのか疑問に思っていましたが、AさんはTさんの世話をされていましたし、交渉で感じたのはAさんが誠実な方でしたので、Aさんに感謝の気持ちから遺贈されたのかもしれないなと思いました。